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初出:2007年2月 7日 20:33

……しかし、なんなんでしょうね、この現実湾曲フィールドってやつは。先日のApple Corpsとの一件も普通に考えれば、2社間でAppleという商標を共有する約束を取り付ければいいだけなのに、フタを開けるとなんとApple Inc.が商標を取得し、それをApple Corpsに対して逆ライセンス。現実がグニャっと湾曲した瞬間を垣間見た感じです。

さらに「DRMを公開しろ!」って声に対して、なんて返すかと思いきや「DRMなんか捨ててしまえ」と来たもんだ。これはね、非常に冷静に、数字なんかで立証しながら逆ギレしているわけですよ。いやあ、素晴らしい、恐ろしい。

たとえばこんな数字が出てくる。1,000曲入るiPodの中のiTunes Store購入楽曲の割合は3%に満たない…。じゃあこれからも皆が年間購入する音楽の97%がCDで、3%がダウンロードなのかっていえば、そんなことないだろう。先の基調講演では音楽販売はamazon.comを抜いたなんて数字も出しているわけで、その時々で都合の良いように数字の出したり隠したりをしているなあって思う。

でもここでの本質的な話題というのは、DRM是非論ではなく、音楽業界がより発展していくためには何が重要か? というところを考えなさいよってことなんだと思います。個人的にはDRMはあっても構わないし、無いから違法コピーに手を出すって話でもありません。FairPlay楽曲に対して、ファイルをいじることなくDRMを外す術を知ってますけど、そんな面倒なことするより、150円なり200円くらい払うよ…ってなもんさ。

以下、Steveの文書を“適当に”翻訳したものです。素人翻訳なので間違いもあるかもしれませんので、以下のサイトを併読されることをオススメします。また、間違いがあったらコメント欄に指摘してください。

Apple - Thoughts on Music(原文)
http://www.apple.com/hotnews/thoughtsonmusic/

ジョブズからの手紙:「DRMは無意味だし、今後も決して役に立たない」
http://japanese.engadget.com/2007/02/06/letter-from-apple-steve-jobs-on-drm

maclalalaweblog: Steve Jobs の公開書簡(仮訳)
http://randomnotes.weblogs.jp/maclalalaweblog/2007/02/steve_
jobs_abe7.html

iPodとiTunes Storeが世界中で大成功したおかげで、アップルが開発したDRM(digital rights management:著作権保護機能)を広く公開し、iTunesで買った曲をiPod以外のプレーヤーでも再生できるようにしろ、とか、他の音楽ストアで買った曲をiPodでも聴けるようにしろ、という声が高まっている。そこで現在の状況を分析して、将来における3つの選択肢を考察してみよう。

そもそもiPodは、DRMの無いMP3、AACといったオープンフォーマットな音楽を再生できる。つまりiPodはいろいろな音源ソース、当然CDに入っている音楽もリッピングして入れることができるというわけだ。CDから曲をリップするのはすごく簡単だよ。iTunesを起ち上げてCDを突っ込めば、あとは自動的にMP3やAACのファイルに変換してくれるんだから。もちろんDRMなんて無しだから、iPodだけじゃなくいろんなプレーヤーで再生できる。

今回起きている問題は、iTunes Storeで販売している音楽に起因している。でもアップルは音楽を所有しているわけじゃないし、コントロールしているわけでもない。いわゆる4大レコードカンパニーから音楽を供給してもらって、販売することを許可してもらわないといけない。4大レコードカンパニーというのはユニバーサル、ソニーBMG、ワーナー、EMIの4社で、世界で売られている70%以上の音楽は彼らが扱っているものだ。アップルが彼らに「ネットで音楽を売らせてくれよ」ってアプローチしたとき、彼らはえらく慎重になり、非合法コピーに対するプロテクト手段を求めてきた。で、そのソリューションとして作ったのが、iTunes Storeで音楽を購入する際にファイルに添付される特別かつ秘密のDRMシステムで、許可されていないデバイスでは再生できないっていう代物だ。

当時、アップルは画期的なDRMの仕組みを開発して、うまく交渉することができた。5台までのコンピュータで再生できて、iPodなら何台でも再生できるというものだ。これがあったおかげで、当時としては前例のない形でレコード会社から販売許可を得ることができた。で、今日に至るまで、他社の音楽サービスよりもずっと優れたものになっている。しかしだよ。彼らと交わした主要な条項の中には、もし我々のDRMが破られて、許可されていないデバイスでも再生できるようになった場合、我々はほんの数週間のうちに問題を解決するか、さもなければiTunes Storeから全カタログを引き払う必要があるんだよ。

非合法コピーを妨げるために、我々のDRMは、許可されたデバイスでしか再生できないようにしてある。もしDRMで保護された音楽がネットにアップされたとしても、それをダウンロードしたところで誰も再生できない。これを実現するために、DRMには「秘密の鍵」が入っている。この鍵を使わないで保護する方法なんてものはない。言い換えれば、どんなに精巧な暗号技術を使用しても、ユーザのコンピュータや音楽プレーヤーで暗号を解くための鍵は隠しておかなきゃならない。この仕組みに頼らないDRMシステムなんて、誰もまだ開発していないんだよ。

問題は、この世には頭の切れるやつがたくさんいて、その中には、多くの時間を使ってDRMの秘密を暴き、音楽をタダで盗むのが趣味ってやつがいる。で、時々それが成功し、企業はもっと強固なDRMを開発するのに躍起になって……まるでトムとジェリーじゃないか。アップルのDRMである「FairPlay」も今までに何回か破られたけど、iTunes Store、iTunes、iPodを一斉にアップデートすることで修復できてきた。こうやってきたおかげで、今までのところ我々は、レコード会社が求めてきた「音楽を保護する」という要件を満たしてきたし、ユーザに対して、オンライン音楽ストアの中でもっとも寛容なDRMを提供してきた。

こうしたバックグランドを踏まえて、将来における3つの違う選択肢を考えてみようじゃないか。

まずひとつ目の代替案は、今の状況を続けること。それぞれの企業が「頭のてっぺんから爪の先まで」プロプライエタリ(独占的な)なDRMシステムで競争する。これは凄く競争の激しい市場であり、メジャーカンパニーが巨額な投資をして新しいミュージシャンやオンライン音楽ストアを育てていく。アップル、マイクロソフト、ソニーなどすべてが、プロプライエタリなDRMシステムで競争している。マイクロソフトのZune Storeで買った曲はZuneでしか再生できないし、ソニーコネクトで買った曲はソニーのプレーヤーでしか聴けない。当然iTunes - iPodもだ。これが現状であり、ユーザーは世に存在する多くの選択肢を受け入れているし、次々といろんな製品が登場してきている。

ある者はこう主張する。プロプライエタリな音楽ストアで買ったら、その企業が作った音楽プレーヤーでしか聴けないようにロックされているし、ある会社のプレーヤーを買ったら、その企業の音楽ストアでしか音楽が買えない。これは正しい主張か?? よし、iPodとiTunes Storeのデータを見てみよう。これは市場でもっともデカい製品から得たデータだよ。まず、2006年の終わりまでに合計9,000万台のiPodと20億もの音楽が買われていった。平均すると、1台のiPodにiTunes Storeでの購入曲は22曲入っていることになる。

今日、いちばん人気があるiPodは1,000曲入るものだ。で、リサーチしてみるとほとんどのiPodが満杯になっているという。ってことはだ、1,000曲中22曲、つまり3%に満たない数がDRM付きの音楽としてiTunes Storeから購入されていることになる。3%の音楽が将来にわたってiPodを購入し続ける“縛り”になるというのは、ちょっと想像しにくい。97%の音楽はiTunes Storeから購入されたものじゃないし、iPodユーザがiTunes Storeに縛られているってことは言えないだろ。

ふたつ目の代替案は、アップルがFairPlayを他社にライセンスし、いろいろな企業が作るプレーヤーと音楽ストア間で相互運用性を確保すること。パっと見ではグッドアイデアだし、消費者の選択肢も広がる。アップルにとってもDRMのライセンス料で稼げるしね。しかしだ、よくよく考えると危険な問題をはらんでいる。もっとも深刻な問題は、DRMライセンスによって技術上の機密部分を多くの人や企業に明かさないといけないし、そんなことしたら漏えいしてダメージを食らうのは歴史を見ても明らか。たったひとつのリークがあっという間にネットを通じて世界中に広がるんだよ。そしたらリークされたプロテクト解除方法は途端にソフトウェアって形になって誰でも自由に入手できるようになる。

それと同じくらい問題なのが、そうしたリークに対処できるかどうかだ。音楽ストアを改善し、ジュークボックスソフトウェアに手を加え、音楽プレーヤーに新しい機密技術を盛り込み、それを無数のMacやWindows PC、音楽プレーヤーにインストールする。これを本当に手早く、確実にやらないといけない。この仕事は、一社がすべてのピースをコントロールしている時にはすごく難しいし、複数の企業がバラバラのピースをコントロールしている場合も、共闘して素早くやらないといけない。

そんなわけで、アップルは、もしFairPlayを他社にライセンスしたら、4大レコードカンパニーと締結した約束を果たすことはできないという結論に達した。たぶんマイクロソフトが最近決定した“オープンなDRM”から“クローズドなDRM”への転換も、これと同じ結論からだと思う。

で、第三の選択肢。それは、DRMを捨ててしまうことだ。想像してごらん。すべての音楽配信ストアがDRMのないオープンなフォーマットで楽曲を販売し、どの音楽プレーヤーでも楽しめる世界を。これは顧客にとってすごく真っ当な選択肢であり、アップルとしては全面的に支持する。もし4大レコードカンパニーがDRMを施さないで音楽を売ってもいいよって許可してくれたら、iTunes StoreはすべてDRM無しの音楽販売に切り替えるつもりだ。今まで製造されたすべてのiPodも当然、これらの曲を再生できる。

4大レコードカンパニーが、アップルや他の企業にDRM無しの音楽を供給する理由は? もっともシンプルな答えは、DRMは音楽の盗用に対して何の効果も発揮してこなかったし、これからもそうだからだ。4大レコードカンパニーは、すべてのオンライン販売楽曲に対してDRMによる保護を求めてきた一方で、まったくコピープロテクトされていない音楽CDを何億枚も販売している。ほらね! 音楽CDにはどんなプロテクト技術も開発されてこなかった一方、CDに収録されている曲は簡単にネットにアップロードして、非合法でダウンロードできるんだからさ。

2006年は、世界中の音楽配信ストアで販売されたDRM付きの音楽は20億曲に満たない。一方で4大レコードカンパニーは200億曲ものDRM無し音楽をCDに入れて販売している。レコード会社は、CDプレーヤーで再生する音楽CDを販売することで大部分の収益を確保しているんだから、この傾向は変わることはないだろう。

もしレコード会社が90%以上の音楽をDRM無しで販売しているんだとしたら、ほんの数パーセントのDRM付き楽曲を売るのに何の意味があるんだ? そこには何の意味もないだろう。もし何かあるんだとしたら、専門技術、開発にかかるオーバーヘッド、運用やアップデートといったDRMにまつわる難題のせいで、音楽ストアへの参入障壁は高いってことだ。もしこの問題を取り除いたとしたら、より新しく革新的な音楽ストアや音楽プレーヤーが参入してきて、結果として音楽産業全体がさらに活性化するだろう。これはレコード会社にとってポジティブな話じゃないか。

欧州では、DRMシステムにまつわる懸念が高まっている。そこで、現状に対する不満を、レコード会社に対してDRM無しの楽曲を販売するように転換してみてはどうだろう? 欧州には、4大レコードカンパニーのうち、2つと1/2の会社が存在している。最大手であるユニバーサルはフランスの企業であるVivendiが所有しているし、EMIは英国企業。そしてソニーBMGの半分はドイツにあるBertelsmannが所有している。これらの会社がアップルや他の企業にDRM無しで音楽を販売していいよ、って言ってくれたら、音楽市場において本当の意味での相互運用性が実現するだろう。アップルは心から歓迎するよ。

Googleさんは、この記事をこう解釈しました

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